風邪・ぎっくり腰
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年末から喉の痛みを訴え、ようやく治ったと思いきや、手首のけんしょう炎とぎっくり腰。
次から次に襲い掛かる不運に、還暦寸前に身を置く老体はもはや戦う気力もなく、
ドクターに治療をゆだね、薬漬けの日々を送っております。
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昨年末も末、30日はどこの病院も正月休みで看板を下ろしていた。
当番医は日向にはなく、市外のその病院の門を始めて叩く。
朝一番にも関わらず、僕より先の5名は、顔をおおわんばかりのマスクの中から目だけを出している。
シーンとする待合室は、NHKアナウンサーの真面目な声が聞こえて来るぐらいのもの。
そんな大人しく咳き込む部屋の片隅から、ひときわ大きな声が聞こえて来た。
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「えっー、トウバンジャンは、いかんでしょ」
やけに、トウバンジャンを連発する女性の正体は、看護師さんだ。
マスクで顔を隠した男性の蚊の鳴くような声とは対象に、彼女の攻撃的な激は病棟の壁をも振動させている。
どうも、彼は風邪にもまして下痢もともなっており、どうして「おかゆ」にしなかったのかと、自己管理の
甘さを指摘され、彼の事細かに訴える症状を、一語一句聞き漏らすことなく問診帳に書き込んでいる。
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ここに来て1時間、ようやく僕の名が呼ばれ、問われる症状をすべて簡潔にYES・NOで済ませると
熱はないと言っている「わき」の下に体温計を差し込んだ。
壁一枚へだてた奥から聞こえる、またしても「トウバンジャン君」と看護師との攻防。
時に声を荒立て、時に優しく、彼女の心理学を取得しているのであろう尋問は、
母親に甘える幼子の様に、尾びれがつき、病状はさらに過剰に伝えられた。
その時である、ドクターが叫んだ「おーい、この部屋を、ノロ。 向こうをインフルで行くぞー。」
急に周りがバタバタし始め、看護師も機敏に、患者が次々に運び込まれて来た。
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ただ喉の痛み止の薬をもらいに来ただけなのに、ノロウイルスとインフルエンザ菌が今から
マスクをしてない無防備な僕を、いざ、むしばまんと。
一刻も早く、この場から、退避せねば。
それと、もう15分は挟んでいる、わきの下の体温計は、外してもいいですか。
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