四国88ヶ所 お遍路の旅
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2年前から始めた四国巡礼お遍路の旅。
昨年は、60年に一度訪れる、うるう年の丙申(ひのえさる)
この年に逆打ち、すなわち香川県の最終霊場88番大窪寺から反対廻りをするとご利益3倍。
去年のうちに廻っておかねば3倍は没収され、中途半端だと、大師様の怒りも買い
地図に黒く塗りつぶされた巡礼地50ヶ所での御祈願はすべて無かった事になるかも知れない。
何としてでも、平成28年中に、完走しておかねばと、相方の鼻息は荒かった。
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師走の朝は底冷えし、一番乗りした佐伯港のフェリー乗り場は、しんしんと吐く息も真っ白。
4時発、宿毛7時着のルートを取ったのは、高知と愛媛の境にある寺を廻り残していたからである。
寺へ行く途中に石垣の集落「西海」がある。ある映画のロケ地になった場所で一度行って見たかった。
しかしナビで検索出来ず、地図にも出ていない小さな村、しょうがなく海沿いの道を北上している。
小さな漁港を2つ過ぎると、崖沿いの離合のできない狭い道が続く。
舗装が切れ、更に道は悪くなり、とうとう、むき出しになった崖崩れの跡が、僕らを妥協に押しやった。
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先日、四国88ヶ所を50日間かけて歩いて廻った「つわもの君」に久しぶりに会った。
彼が言っていた「忘れ物をして、後戻る時ほど、つらいことはない。」と。
僕達は今から後戻るが、20分のロスの行きと帰りで40分も無駄にしてしまった。
日本人は、無駄を好まないが、ケニアツアー11日間を体験している僕は、あのサファリで、
ぼーっと過ごした、もてあそぶほどの無駄な時間が非常に心地よかった。
無駄こそ、時として癒しの場なのかも知れない。
そう思いながらも、相方の愚痴を左耳で受け止め、ギアーをローからトップに切り替えている。
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始めて四国に渡った、一昨年の5月は素直に徳島の1番霊場からのスタートするも
逆廻りや順番を無視した「乱れ打ち」など、何でも有り有りでも、ご利益があると知り、
そのあとは、正直、まともな廻り方はしていない。
去年の3倍から、襟を正して見たものの、今回残した25ヶ所は逆乱れ打ちのあばれ太鼓だ。
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旅の楽しみは、ご当地グルメに、地酒などなど。
昼はあっさり、そばうどんやコンビニ物を腹に押し込むが、夜は口コミ情報から店を選ぶ。
評判のいい店は、確かに味も価格も、こちらの要望を、高い確率で満たしてくれるから嬉しい。
ホテルから歩いて5分、半径300mが理想で、タクシーを走らせることはない。
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のれんをくぐり、ガラガラっと、口コミ優良店に足を踏み入れた。
板張りの広い座敷に丁度いい長さのつい立てが、最低限のプライバシーを守ってくれている。
メニューは、良心的なと申しましょうか、無作為に注文しても想定内で収まりそうな価格設定だ。
四国は焼酎よりも日本酒がよく飲まれているようで、郷に入っては郷に従い、それをお願いした。
体脂肪が少なく、白の交じる短髪のご主人が、お勧めを持って現れる。
正直、味は分からない。飲み口が良いか悪いか、ただそれだけである。
おでんなどを頬張り、ちびちび、やるのが、乙なもの、日向にあった「玉ちゃん」を思い出すな。
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主人は、今はロードバイクにこっているが、その前はマラソンをしていたらしい。
我らの「かくかくしかじか」を投じると、「私はマラソンで制覇した。」と、僕らの目をクルクルさせた。
100キロとか200キロとか、とんでもないレースにチャレンジしていた猛者も猛者。
「自転車であれば、日本の果てから果てまで走れますよ。」と、にやりと右ほほを突き上げた。
昨年の「ひょっとこマラソン5キロ」の部で小学生に抜かれ、半分は歩いて完走したあたし。
小さなご主人がとてもとても大きく感じる。
歩いて廻るのも大変なのに、走って廻ったとは、凄い方もいるもである。
お主人の影響を受け、翌日僕達は、距離が近い所を選んで歩いた。
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