杖立温泉 ちいさな旅
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「杖立温泉」。聞いたことはあるが、何処?
それは阿蘇小国町の奥深い山に囲まれた小さな温泉地。
すぐ隣に黒川温泉があり、地形がことのほか似ている。
かといってブランド黒川の目の飛び出る宿泊料は此処には存在しない。
杖をついて来た人が、湯に入ると、杖なしで帰れるという由来からその名が付いたそうな。
日田インターから渋滞で2時間と言われたが、後2キロの所まで1時間も掛からなかった。
早く着くなと思いきや、それからが寸刻み、1キロ進むのに1時間を要した。
狭い道の向こうから対向車が2台現れると、我らの長蛇の列が2台分前進する。
これって駐車場のスペースが限られていて、出た分、お入り、みたいな。そんなこと。
「んにゃ・こりゃ・でいじゃ」・・・後どれぐらいで着くのだろう。
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受話器から放たれてくる早口の熊本弁は聞き取りずらく、翻訳するのに手間取ったする。
「何、近道があるの?」
此処からUターンをして橋を渡ると細い裏道が旅館まで続いているらしい。
理屈では理解できるものの、幅6mも満たないこの林道をしかも前も後ろも車詰め。
「どうやって、車を後ろに向けろというのだ。」
最初の旅館の駐車場でUターンするよう指示を受けたが、目と鼻の先の駐車場がやけに遠い。
疑っている訳ではないが、Pの青年に橋を渡るBコースでたどり着けるか確認した。
国道のずっと下に見える杖立川沿いに旅館が建ち並ぶ。
道は車の幅しかなく、ゆるいカーブも神経を研ぎ澄ました。
旅館から更に下の河川敷に駐車場があり、やはりここから出た分、車が入って来ていた。
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旅館は「四季の宿 わかのや」は口コミで高い評価を頂いている宿だ。
女将さんの手書きのブログは有名で、日々の奮闘ぶりを面白おかしく綴られている。
建物は築88年で、耐震強度に劣るが、昨年の熊本震災の震度6にも耐えている。
廊下や壁板は手入れが行き届き黒光りのピッカピカであった。
湯船につかり、有田を2万歩も歩かせた体をいたわり揉みほぐす。
蒸し風呂のドアを開けると熱風で押し戻された。半端ない熱さである。
腰かけようにも、板が焼け付き、座ることが出来ない。
タオルを敷いてみたが、アッと言う間に蒸しタオルに。
結局、体感しただけにとどまった。恐るべし極熱蒸し風呂。
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夕食は食べきれない程の豪華な料理がテーブルを埋め尽くす。
女将さんは気さくな方で熊本市内出身。
昨年の熊本震災は今まで体験したことない揺れで源泉も止まり旅館も休業。
僕が益城町にボランティアに行った話をしたら、目を赤くして声を詰まらせた。
この宿を愛する全国の常連さんからの励ましの言葉に助けられた。
床の間に飾ってある着物の帯は女将さんが花嫁衣装で持って来たものだが
地震が起きた時、防災頭巾になるよう短く切ったそうだ。
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夜風にあたりに外に出ると、1ヶ月泳ぎ続け疲れたのだろう鯉が体を縦に眠っていた。
また、立ち寄ってみたい杖立温泉の宿でございました。
帰りは久住高原花公園で写真を撮ろうっと。
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