キス釣り
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山ちゃんの所に船が届いた。
何かしらの訳で、彼が船を所有する事になったらしい。
船に名前はなく、手掛かりは、停泊する中で一番おんぼろ船だという事。
目印の小屋の前に車を止め、どれどれと、探すまでもなかった。
目の前に、今にも沈んでしまいそうな、傷だらけの、老船。
人間であれば、とうに90歳は超えている。
定年退職後、再雇用も終え、湾内で静かに余生をおくるはずだった。
そこに現れた、キャプテン山本。
横たわる老兵を揺さぶり起こし、まだ働きが足りないと言っている。
はたしてエンジンは掛かるのだろうか。
沖でエンジントラブルを起こして大惨事、何てことには、なって欲しくない。
その昔、エンジンが止まり、海につかり3人で船をバタ足で岸まで押したことがある。
あんな事、若いからできたが、今は無理。年上の3名も絶対無理、無理。
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10年前、山ちゃんと二人で船をチャーターし門川でキスの爆釣りを体験した。
毎年春先になるとその話になり、行こうか~!と盛り上がるが、実行されたことはない。
彼が船を所有したことで、とうとう、それが叶いそうだ。
初の船出に、釣師2名と初船釣りが加わり5名での出港となった
お昼前に港に着くと、4名はすでに乗船しており、僕をまだかまだかと待っていた。
驚いたことは、思っていた船ではなく、二番目に古い船だった。
「ぼろは着てても、心は錦」そんな歌があったな
ぼろに乗っても、僕らは、ウキウキしてしょうがなかった。
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スピードが遅いと言っていたが、僕が駅伝で走ったスピードよりは速い。
爆釣りをさせた乙島を後回しにして、お倉ヶ浜沖の「ドドロバエ」を目指す。
塩見川の河口北東方向にある直径30m程の小さな島だ。
ここのキスは20cm強の、とてつもないサイズだったと記憶する。
基本、キス釣りではイカリは入れず、潮の流れに船を委ね流し釣り。
島の両サイドと沖目を探ったが反応なし。
やや危険ではあるが、島のお倉ヶ浜側に船をまわした。
どうして危険かというと、三角波が立つのである。
これに船が乗ってしまうと、浅瀬まで、まさしくサーフィンの如く押し流され転覆する。
移動して早々三角波が立ち始め、ここでの釣りを断念しエンジンを掛けた時、初釣り吉川順ちゃんが20cm級をゲット。ビギナーズラックだ。
此処での釣果は、この一匹。また、挑戦することにし、ドドロバエを後にした。
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海上は定置網が広大に張り巡らせてあり、
網をスクリューに巻き込まない様に注意しなければならない。
目指す門川の乙島まで、慎重に遠回りの海路に「おも舵、一杯~ぃ」
初挑戦の彼の一匹以外、まだ誰も魚を釣っていない。
日向ライオンズの会長は磯釣りの名人だったが、キス釣りは初めてだ。
釣る魚の種類で、仕掛けや道具がまるで違うのである。
会長はクラブ入会後ゴルフに移行した為、すでに釣道具は処分されており、今日は、新たに買い求めた道具で参加している。
入れ食いを信じて糸をたらしているが、会長だけまだ一匹も釣れていなかった。
それから、4回ほど移動したが、一人3匹づつ釣ったところで納竿の時間。
10年間胸を膨らませてきた釣りは、みごとな撃沈で幕を閉じた。
釣り立を、クラブ会員である浜寿司で天婦羅にしてもらうことに。
こんなに 分厚くプリプリしたキスは初めて、素晴らしく、美味しかった。
次はいつ行こうか。暫くは船釣りの話題が尽きないかも知れません。
また、ご報告差し上げます。
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コメント欄
ツチダ (2018年05月10日 07:47)
船出も一抹の不安がありますね。沖合は枇榔島までにしておいたら 船の名前ねー 沈まない 燃えない 壊れない名前 ライオンズにそんな人がいませんか 船長の名前等は?
西村 (2018年05月10日 12:40)
土田先生、まだ枇榔島には行っていません。
めちゃくちゃ安全な湾内釣りからスタートです。
目的が、その後の宴で、さすがに釣り立のキスの味は最高でした。
今後、僕達がどれだけ、上達、進化するのか、楽しみです。
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