ぼくはシネマしぇん!の一覧に戻る

2016年07月09日

#32「翻訳されない原語に隠された意味 Part2」



前回(http://www.hyuga.jp/blog/view/cinema/978
好評頂いたのでPart2を。

今回は『アラジン』の翻訳・字幕にものらないジーニーのある一言から始まる驚きの考察をご紹介。

■時は西暦10300年
『アラジン』の舞台は架空の街アグラバー。雰囲気としてはアラブ諸国であり、原作の「アラジンと魔法のランプ」では本当は今の中国あたりを舞台にしているが、映画版ではその点はほとんどない(アラジンとジャスミンの夜空のデートのラストシーンぐらいかな)。

では時代は?

過去だと思いますよね。

しかし、ジーニーが興味深い言葉を原語版だと話しています。それはアラジンを王子に変身させる時、アラジンの服装を見て言う台詞。

Genie: First, that fez and vest combo is much too third century. 
(日本語訳:まずはその3世紀頃のような帽子とベストの組み合わせをなんとかしないとな)

これは日本語吹替にも日本語字幕にも、英語字幕にも表示されない。

さて、ここで引っかかる点が一つ。

ジーニーは魔法のランプに一万年もの間閉じ込められていた、と説明があります。では、一万年もの間閉じ込められたジーニーが3世紀頃の服装を知っているのか?

そこから、このお話は西暦10300年以降の遥か未来のお話じゃないのか?という解釈が生まれました。

そうだとすると、3世紀頃にジーニーが閉じ込められれば3世紀頃の服装を彼が知っているのは辻褄が合う。

これが仮に過去の話、16世紀頃の話(「アラビアンナイト」が書かれたとされる時期より前)だとするとジーニーは紀元前9000年以上も前の服装しか知らないはずだ。だったら"3世紀頃の服装"という言葉が出てくるはずがない。

なので、この『アラジン』は未来の話ではないか?という都市伝説めいた説が生まれた。

■そこにあるはずのないもの
確かに10,000年も閉じ込められたジーニーがなんで20世紀の映画スター、ジャック・ニコルソンやグルーチョ・マルクスのモノマネをし、そしてアブーをまだ発明されているはずのない車に一瞬変身させることができたのだろうか。

それもこれが我々の未来の話でそれらは失われた過去の文明の遺産だから、と解釈すれば色々と辻褄が合う。

『アラジン』の世界の住民は不思議な力(空飛ぶ絨毯、魔法の力)を見てもそんなに驚かない。それはかつて存在した高度な文明の残りだと思っているからではないか?というか、喋れることのできるオウム:イアーゴがいる時点で何か凄いだろ!

故に『アラジン』は一度高度に発達した文明が崩壊した後の世界が舞台のおとぎ話ではないのか?とまで考える説もあるのだ。

魔法の洞窟の柱がWiiに似ている!って主張する声もありますね。


ちなみに、アラジンのゲームではなぜか
"STOP"と記された道路標識があったりします。車はないのに。

■最後の一言
恐らく、このジーニーの"3世紀頃の服装"という言葉は声を演じたロビン・ウィリアムズのアドリブだ。というか、ジーニーの台詞はかなり彼のアドリブだったらしい。

なので、たまたま思いつきで喋った言葉である可能性があるので、これまで記してきた"『アラジン』の舞台は未来"説はファンが考えた後付けだろう。

けれど、たった一つの言葉から、映画の中にある矛盾へ繋げてもっともらしい話まで形作るこの想像力はとても楽しいな、と私は思います。

もしかしたら、ジーニーは時空を超えられるかもしれないじゃないか?いや待てよ…だったら作中で使えばあんな事になる前に止められるワケだし…なんてね。

とまぁ、単なる都市伝説かもしれないネタを紹介しちゃったワケですが、これもまた『アラジン』の"A Whole New World"(全てが新しい世界)ということで。


コメント欄

コメントを投稿する

[承認制]このブログのコメントは記載者に承認されてから公開されます。

メールアドレス: / 名前:
コメント