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2015年09月21日

#1 『セッション』

『セッション』

初めて紹介する映画はこちら。

ジャズドラマーを目指す主人公がとんでもない鬼畜教師に超スパルタでしごきまくられるという、音楽映画の仮面を被ったスポ根映画です。

主人公アンドリュー君がひょんなことから音楽学校でも突出した指導力を備えたコーチであるフレッチャーさんに目をつけられ、彼のクラスに引き抜かれるがそこで待っていたのは、殴る、引っ叩く、ぶん投げるの地獄のようなシゴキだった!

涙と汗でボロボロになっているアンドリュー君にフレッチャーはとてもお下品な言葉でアンドリュー君をみんなの前で恥をかかせ、精神的にも追い詰める。今のPTAの方々が知ったら鼻血が出るんじゃないか、と思うぐらいの教育方針がムチのようにビシバシと主人公を痛めつける。

普通のスポ根物だったら「ちくしょー!見返してやる!!」ってなって主人公は努力して成長する、というセオリーなのだがこの映画は少し違っている。

一念発起して頑張るのは同じだけど、主人公アンドリュー君がどんどんおかしくなっていくのだ。

最初はあどけなさが残る男の子だったのに、徐々に眼光が鋭い競争者の目になっていく。ミュージシャンというより闘士のよう。成長ではなく狂っていくんだ。

そして、映画の三分の二を過ぎたぐらいからは全く先が読めない展開になってゆく。よくありがちなパターンを徹底的に外し、最後の最後までひっくり返るようなサプライズの連続だ。

いがみ合っていた鬼コーチと和解してハッピーエンド!…と思わせておいて、とんでもないどんでん返しがあるが、それは是非自分の目でご観賞あれ。そして映画史上トップクラスにカッコいいラストは必見だ。

音楽によって狂気に取り憑かれた主人公と、狂気の世界に誘ったコーチ。その二人が最後にお互いの力と音楽を通じて見い出す答えがとてもいい!「努力は必ず報われる」とかよりも、最も大事なこと。それを見落としていた人々がある気持ちを取り戻す物語だ。2015年を代表する一本、是非オススメです。


ちなみに、この作品はアカデミー史上最も低予算でアカデミー作品賞にノミネートされた映画の一つ。

次回はディズニーアニメ『アラジン』のあるシーンに隠された意味について9/25に投稿予定



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