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2015年11月22日

#10『インサイドヘッド』

ピクサーが久しぶりにぶっ放してくれたイマジネーションの玉手箱だ



これまで様々なモノや動物に感情を与えてきたピクサー。オモチャに車、ネズミにロボット…さぁ!今回は何にピクサるのかな、っと思ったら…なんと感情にも"感情"を宿しちゃいました。この時点でもう流石としか言えない。

誰も見た事のない頭の中、ちょっと覗いてみませんか?

"頭の中で起こっている出来事を描く"

そうゆう映画は実は過去にもあったし、それぞれのキャラクターが性格で明確に分けられているのは『白雪姫』の小人が元の元だ。そして今年75周年を迎えたディズニー映画『ファンタジア』にも音楽を聴いている脳内で起きている現象を映像化したような場面がある、などなど…。珍しい試み、だが前例はある。

でも、この映画は見事にオリジナルだ。突き抜けて新しく、そして私たちみんなが経験している、なのに知らない、という誰もが語れるのに、これまで語られることのなかった、そしてできなかった、本当の意味での"あなた"の話だ。

心理学者や精神科医のアドバイスも取り入れたギミック満載のストーリー展開、それに合わせて本当の主人公である11歳の女の子ライリーの物語も同時進行する、というかなりトリッキーな設定と脚本。

それなのに見事にまとめあげ、エンターテインメントとして昇華し、メッセージ性も抜群に効いている。ついに映画が、想像が、人間がこんなことまで描くようになったのかと頭の中をくすぐられっぱなしの90分。

まさか"あれ"をこんな形でエンターテインメントとして描くとは!こんなストーリーの進め方があるとは…

キャスティングも見事でアメリカのコメディードラマ("The Office""Parks and Recreation")で大活躍した俳優たちの声の演技は絶品だし、それぞれのキャラクターをこれ以上ないくらいに引き立てているぞ

これまで見たことのないような中盤からの展開は本当に驚きの連続なので多くは語れないが、総合して結論を言うと今年のベスト級の一本とだけは断言しておこう。

あっ、心理学を専攻した、している人は絶っっっ対に観た方がイイぞ。間違いなくより一層楽しめるはずだ。

頭の中で色々考えてもいいし、ハラハラドキドキを目一杯楽しめる心だけを劇場に連れて行ってもいい。そこで生まれてきた感情こそすべてだ。存在する意義はすべてにある。

もはやこの名作を100点満点で換算しようとしても出来ない。この作品が描く"感情"の素晴らしさの前にそんな勘定はお呼びでないよ。

物語の最後に提示されるカナシミが存在する理由というのは別段目新しいものではない。しかしこの映画で描かれている”見ることが永遠にできない感情の世界”をイマジネーションという魔法の力で作り上げ、思考という名の列車が私たちをその世界のレールに乗せて疑似体験させてくれる。

それにより、テーマが心の奥にまで響き渡り、一つの感情ではなく、様々な感情の入り混じった、まさに虹のような色をした感動を頭の中に残してくれるのだ。

ちなみに、各キャラクターのデザインの元はヨロコビは星、カナシミは涙、イカリは焼けているレンガ、ビビリは神経、そして俺推しのムカムカちゃんは実はブロッコリー。


次回は、冬の夜空にふと宇宙を観たくなるSF&ファンタジーの傑作『コンタクト』を12/5に紹介予定。


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