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2015年11月08日

#8『LEGOムービー』

■レゴによって描かれる、オモチャの話を超えたトイストーリー。

「レゴの映画?どうせ子供騙しのプロモーション映画だろう?」

と思われていたが、開けてビックリの世界中の大人の心をガッチリ掴み、批評家たちからもかなりの高評価を得てメガヒットをかっ飛ばした。

まるでオモチャ箱をひっくり返したような楽しさと、その中に隠された非常に深遠なテーマもしっかりと描かれた疑いなく2014年を代表する一本。個人的に去年のナンバー1作品だ。

まるでレゴで組み立てられたかのように見える世界での大冒険。そのディテールはすざまじく、西部劇の世界のレゴはちょっと日に焼けていたり、登場するレゴに指紋が付いていたりと、CGを使って本物のレゴによるアニメのように見せる、というアクロバティックな試みをした。

そんな世界を舞台に大冒険を繰り広げるのはエメットというごく普通の建築員。マニュアル通りに建物を建てて、それなりに普通の生活を送っていた平均的な男。

そんな彼が偶然”マスターピース”なるものに触れたことにより、世界を救う救世主になる羽目に。そしてレゴワールドの頂点に君臨するお仕事大王の野望を知る。

それは世界をボンドの力によって、すべて固めてしまうことだった…

お話はすごく単純で、絵面もギャグもとにかく楽しく、テンポもサクサク子供もキャッキャ言いながら見られる。最初は大都会が舞台にお話が進み、そこから西部、虹の国、そして大海原、とめぐるめく場面の変化でビジュアル的にも楽しいし、レゴで海を表現するシーンは本当にビックリする見事さ。

これだけでお子さんには諸手をあげてオススメできるが、この映画は大人が観ても鑑賞に堪えうる。いや、それどころの話じゃない。

物語は王道な話で、ある男が冒険によって英雄になるというもの。しかし、この映画の終盤映画史上においてもかなりトリッキーな展開に仰天する。まさか、そう来るとは思わなかったぜ!と驚いた後、この映画の冒険の先に見出すメッセージにきっとやられる。レゴ賞賛映画か?と斜に構えて観ていた人も、そんな低次元の話ではなく、ありとあらゆる人々が考える”何かを作る”ということに、素晴らしい答えを導き出す。

あるラジオで子育てに悩んでいた母親がこの映画を観て号泣してしまった、という感想を投稿していた。子供が思い通りに言うことを聞かないことへの苛立ちと、それに付随する不安を抱えていた日々の中にこの映画を観て感動した。このオモチャたちのお話と、子育てがどうリンクする?いや、するんです。単なる楽しいだけの映画じゃない。楽しさの先にあって、同時に苦しみの先にもある”何かを作る”こと。それに対して、すべては最高!”Everything is Awesome!"と導いてくれるとても温かい光を放つ映画だ。何年後も、何十年後もこの映画を観て、描かれているテーマにきっと救われる人だろうね。

作ることに良いも悪いもねぇんだ。

ちなみに、この映画の作中レゴという言葉は台詞で一切登場しない。でも観た後お子さんがいる方はせがまれるだろうね。


次回は嗜好を変えて海外ドラマの紹介を。
イギリスドラマ
『シャーロック』
を11/15に公開予定。

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